23, 08. 2010 ナツエビネ


前々日夕刻バルセロナを発ってロンドンで日航機に乗り継ぎ,昨日夕刻成田から新千歳に到着したのが20:25、家へ着くと10時近く、長い移動時間だった。座席の下から下肢を乗せるパーツが伸びて,少し楽な姿勢が取れたが歩く方がずっと楽。長いフライトはキツい。経済の不安定で失業率が高く,不穏な事件が多いと喧伝されていたスペインの一人旅は、不快な思いをすることもなく、むしろ接した方々の温かさが伝わる佳い旅だった。

昨朝真っ先に庭に出てみた。僅か半月余の間に呆然とする程樹々の枝や雑草が伸び,花期を終えた野草が項垂れていた。気に懸かっていたナツエビネは、先端迄花が開いていたが,未だ朽ちてはいなかった。最後に花芽を出した3本目には蕾が残っていた。これだけでも、大分救われた気分になった。




6日早朝姪と一緒に家を出て、漸く着いたヒースロー空港では、連絡路に接する扉が開かないという珍事件が起きた。随分待たされて,機首に近い扉から地上に降り,係員の誘導に従って階段を上り,トランクを引き取るターンテーブルに着いた折には,引き取り手のない荷物がぐるぐると回っていた。2人共バッグの他はトランク一つだったので楽に移動出来たが,機内に手荷物を持ち込まれた方々は、大変だったと思われる。空は雨雲が垂れ込め,気温はかなり低かった。



ハイドパーク近くのホテルに,主役の2人,先方と当方の家族4人ずつが同宿した。食事を共にすることで、直ぐに打解けられて、佳い計画だったと思われた。新婦は、持参したバッグに丁度良く映る緑と青の抽象柄のワンピースを身に着けていた。翌日の結婚式当日の予報は雨だった。折角の式なので何とか晴れて欲しいと希ったが、翌朝起きると既に雨が降っていた。幸い身支度を整え教会に向う頃には、青空が覗き始めていた。旧いロマネスクとゴシックが入り交じった教会で,神父様が教会の由来を説明して下さった。





少人数ながら,本当に佳い式典だった。写真を撮る方とヴィデオを撮る方が2人お出でで,式典の様子を撮って下さっていた。式後,シャンパンが供され,神父様が出席者の間を廻り,祝いの言葉を述べて下さった。席を移してのレセプションの為に教会を出た頃には,空はすっかり晴れ上がっていた。新婦の花束は姪に手渡され,ロンドンを発つ迄部屋に佳い香りを放ってくれていた。姪が花束を持つ日が来るのだろうか。






広い庭に張り出たバルコニーに面した部屋でのレセプションも和やかだった。ウェディングケーキのカッとの後,2人から夫々に引出物が手渡された。小銭入れには、甥の手書きのメッセージカードが入れられてあった。バルコニーから庭を見下ろしていると,オーナーがご自慢の庭を案内して下さった。お定まりのバラやアガパンサスといった園芸植物よりは,もう花期を終えて実を付けている樹々が気に懸かった。






昨日よりは気温が幾分下がっているが,相変わらず蒸し暑い。盛りを過ぎたビランジの色が暑苦しい。ヌスビトハギは満開。ツユクサも猛々しい程大きくなっている。明日のゴミの集荷に合わせて、植物の切詰めでもして過ごそうか。




ナツエビネ Calanthe reflexa ラン科