15, 11. 2009 海を渡るオオウバユリ


昨日は終日雨が降り続き、薄暗く鬱陶しい天候だった。この時期の地面の暗さには、気が滅入る。むしろ降雪の方が、寒さは増すが、地面が明るくなって、薄暗さからは解放される。午前の教室を終え、何時もの様にクレンザーでの床磨きはせずに、水に僅かな灯油と住宅用洗剤を入れた溶液で、床を拭いた。

制作の折には、和紙を直接床に水張りをして行うので、床の油分は禁物になる。クレンザーで床を磨き、何度も水拭きをして,室内用の履物は入口で脱いで、ソックスでアトリエに入る。殆どのソックスは、足裏の部分が青い絵具がで染まっている。週一度の床磨きは結構な労働になるが、これをせずに制作を続けると、限りなく仕事場が汚れて行くので、週一度の教室への開放は、この状態を防ぐ抑止力と考えている。

昨日床を簡単に吹いたのは、明日遠来の来客がある為。MIXYで知り合った、ニューヨーク在住の映像作家のN さん。ブログのオオウバユリの日記に、強い関心を示され、北海道でのオオウバユリとの出会いをコメントに書かれていた。彼女の日記にも、幼少時お祖母様との度々の北海道旅行、後の山でのオオウバユリとの出会いが詳しく載せられていたので、実の写真を載せた折に戴いたコメントの返事に、種をお送りしましょうかと記したら、是非にとのことで、実が成熟したら種を送ることになっていた。




先月メッセージが入り、故郷の四国に一時帰省されることが決まり、関東周辺での用件の後、北海道へも出向いて、我家を訪ねて種を持ち帰りたいとの内容で、彼女の訪問が決まった。関東北部から夜汽車で見えるとのことで、当地への到着は、早朝となる。収穫しておいた実を出してみた。実はすっかり口を開け、中の種は実を入れていたビニール袋の底に全て落ちていた。種の一部を掬って、ビニールの小袋に入れた。口を開いた実の縁は、鋭い突起が出ていて、恐竜の頭部さながらだった。





折角見えるのだから、径6cm程の紙の巻き芯があるので、実をこの中に入れてお持ち帰り頂こうと思っている。トランクの底にでも入れれば、空港で見付かることもあるまい。無事に海を渡れば、来年彼女の家の裏庭に、細い1葉の芽が出ることになる。