18, 02. 2012 水脈を遡って


前夜星が瞬き、明方南東の低い空に細い月が光っていた昨日は、気温がぐんと下がったが、良く晴れた。午後から札幌に出かける用件があったので、朝食後直ぐに和紙の仕事に取りかかる。絵具の乾く間にゴミを出したり、陶の作業を進め、もう1度色を載せて午前の仕事を終えた。

廻る場所が数カ所あるので、何時もより早い電車で札幌へ向う。「ヌフサムメムー野傍ノ泉池ー」と題された水脈が主題になった鉄と硝子に依る展覧会で、本来は上流から廻るべきなのだが、その後の足を考えて、下流に相当する北の画廊から廻ることにした。鉄を素材とする阿部守氏の作品も、硝子を素材とする高臣大介氏の作品も、以前から拝見しているので、熱を接点に合作された作品に興味があった。黒く着彩された鉄の造形に絡む硝子の造形は、新鮮だった。

画廊を出て、真奈美へ向う。北海道大学の構内に入る頃、雪が散らついて来た。愉しみにしていた銀杏並木は、冬芽が伸びているが、黒く陰鬱に見える。理学部の前を通り、西に農学部の建造物を見ながら、クラーク会館の前に出る。会館前のハルニレの巨木も、黒々と聳えていた。






構内を抜けて、南の清華亭へ向う。かっては、札幌の西の山並からの伏流水が湧き出た植物園の水が、その直ぐ北のI邸にも湧き出し、此の清華亭にも湧き出ていた所。庭に残るハルニレの巨木の下に、阿部氏の鉄の造形物が黒く彩色された木製の台座の上に設置されていた。高臣氏の作品は、雨水を集めるかの様に、硝子の容器が吊るされていた。





鉄道の高架をを潜り、南へ向う。少し東の道庁の北門から構内に入る。先日見かけた白鷺はいないかと池を見渡したが、姿はなかった。陽が射して来て、池の対岸の古木の梢が輝いていた。正門を出て、街路樹の銀杏を見上げながら東へ向う。陽を受けた銀杏は、北大構内の並木とは全く異なった様相を見せていた。




駅前通りを南へ向い、画材店に入る。和紙の立体を作成する為の膠を買い求める。折よく対応してくれた店員が、次に観に出かける「風がやむ」と題された個展の作者の樫見菜々子さんだった。会場の写真を撮る許可を得て、東へ向う。始めての画廊だった。北窓がある喫茶スペース横の、こじんまりとした空間だった。彼女の作品は、前作からの予見を持って行くと、何時も外れる。今回は、床に白い寝具の様なものを広げ、小さな粘土製の人体や動物が配されたインスタレーションだった。壁面には植物を想わせる小さな立体があった。この後、どの様に展開していくのだろうか。





今朝も晴れているが、気温はとても低い。ガラス窓が盛大に氷結している。何時まで寒さが続くのだろうか。