05, 09. 2010 タホ川を渡って 


斜めにクロスした角の壁に、サン・クレメンテ修道院への道標があった。そろそろ戻ろうかと思っていたが、廻ってみることにした。高くがっしりした塀が廻された大きな建造物だった。カテドラルへ戻る道で、石畳に同化しそうな毛並みの猫が、日陰で休んでいた。従姉夫婦に世話を頼んで来たアタローのことが思い出された。






カテドラルの周辺には、レストランが集まっているのを見ていたので、少し早めの夕食をと考えていたが、随分歩き廻ったのに食欲が出ない。ふっとガルバッチョという冷たいスープを思い出した。注文をとりにきたボーイに冷たいかと尋ねたら、胸を張って冷たいと請け合った。この日何度目かのビールとガルバッチョを注文した。予想より遥かに大きな器が運ばれて来た。冷たく味の良いスープだった。大分飲んで、写真を撮っておこうと思い付いた。添えられて来たパンは余り食べられなかったが、スープはすとんと胃に収まった。下の写真は、その後グラナダで昼食に注文したガルバッチョ。これも中々美味しかった。




帰りがけ、路地を辿って佇まいを愉しみながら歩いていると、路地の先に現代的な建造物が現れ、横の低い空地から市街が見える場所に出た。コンクリートの階段を、建物から出た人々が登って来る。開けた空間の向こうにはドーケ・デ・ベルマ博物館が、朝よりも間近に見える。方向は間違っていない。階段を駆け下りて入口に入って行く人の後に続いてみた。長いトンネルの様な空間で、エスカレーターが続いていた。先はずっと低くなっていた。左手が明るくなり、数人の人々が入って来た。開口部を出ると階段があり、降りると広い車道に出た。道なりに下って行くと、橋の手前に門が見えた。





門を潜って橋を渡る。タホ川沿いには、白い花を付けている樹が続いていた。マメ科の植物と思われ、ハリエンジュに似ているが、葉が長く、花序も上を向いていた。左手にアルカサールを見ながら進むと、見覚えのあるロータリーが現れた。朝とは異なる道を通って、陽が傾き始めた中をホテルへ戻った。長い一日だった。






韓国を直撃した台風が弧を描きながら北上し、北海道に近付いた一昨日は雨が降ったが、昨日は良く晴れた。教室を終えて、3時過ぎに買物に出た。花を付けていたガガイモがどうなったかと、少し回り道をして四番通りを通って行くことにした。通りの北の玉葱畑は、葱の部分が枯れ、玉葱が延々と並んでいた。通りへ戻って東へ歩く。花を見付けた折の記憶を辿って、背丈を伸ばしたヨモギに絡まった蔦を見付けた。もう実が生っていた。少し色付き始めている実もあった。この実を見るのは40年振りのことになる。莢に亀裂が入る頃、また来ようと思った。空地は、セイタカアワダチソウが席巻していた。





ガガイモ Metaplexis japonica ガガイモ科