18, 03. 2010 桜の便り


朝方散らついていた雪は止んだが、昨日は雲の流れが速く、目紛しい天候だった。前日よりは陽が射す時間は長かったが、充分とは云えぬ採光で仕事を進めた。下写真は、前日の特厚の手漉きの和紙の水張りの様子。通常水張りの折には、和紙の中心から対角線、垂直線、水平線を幅広の水刷毛で引き、床との間にある空気を外へ押し出す様に水刷毛で拡げて行くのだが、この和紙に限っては、床面を水で濡らして和紙を置き、外縁のみを水刷毛で床に付ける。通常の水張りの様に和紙を伸ばしてしまうと、乾燥の折の収縮の力が強く、周囲を押さえる膠を外して、焙ったスルメの様に曲がってしまう。和紙の厚みを必要としての選択ながら、暫く手こずることになりそう。




2時少し過ぎに、北東にあるスーパーに野菜を買いに出かけた。前日より風は弱いのに、風が冷たい。足元で凍った雪がシャリシャリ音を立てる。少し回り道をして、東の沢の西側を廻ることにした。アセビの蕾が膨らんで、少し赤味を帯びているものがあった。大きな木なので、開花は早いかもしれない。塀の前の雪の壁の一部が融けて、複雑な形の氷柱が出来ていた。生垣と道路の間の雪の壁に、黒いものを撒いているお宅があった。沢山積まれた袋を見ると、活性炭入りの鶏糞と書かれてあった。融雪の目的で撒かれたのだろうか。塀の中の雪も、皆黒くなっていた。人夫々、色々な思惑があって面白い。






ブルトーザーが沢に押し出した雪の山は、随分低くなっていた。雪山から見下ろしていたタラノキは、すっかり姿を現して聳えていた。芽や花の写真を撮るのは大変かも知れない。




沢を離れて、住宅街を西へ戻る。屋根に雪が積る当地でも、太陽光発電のパネルを設置するお宅が散見される様になった。無落雪と呼ばれる、雪を家屋の中央に集めて暖房等の熱で溶かし、下水へ流すタイプの屋根なら、屋根の稜線に取り付けが可能になる。日本海側は、冬期間は余り陽光は望めないが、初夏から秋迄は晴天が続くので有効なのかも知れない。



北東を散歩する折に見上げるサクラの新芽が随分膨らみ、芽が割れて来た。佐賀在住のMIXY 友Tさんのブログには、工房のお庭に咲く満開の山桜と白いモクレンの写真が登場した。過日の降雪のあと雨続きで、雨が上がったら一斉に開いたと書かれてあった。天気予報にも桜の開花予想が登場し始めた。当地の開花予想は5月3日。未だ一月半も先のことになる。次々にTVやNetに登場する桜は、心和ませる反面、春を待ちわびる狂おしい気分も味わうことになる。



買物帰りに、秋に赤い実を付けていたニシキギが、すっかり変色して黒ずんだ姿になっているのに出会った。シロヤマブキの黒い実も見受けられた。




昨夜の雪が、うっすらと白く冠っているが、雪は止んで青空も覗いている。5時を過ぎると戸外が見える様になって来た。朝食前に一仕事出来る季節が待ち遠しい。