20, 09. 2013 発寒川の畔


朝夕の気温は下がって来たが、湿度は中々下がらない。洗濯物や布巾の乾き工合が、今一つ良くない。明日の教室を終えて制作を再開するすることにした。半端な革から、漸く必要なパーツを取り終えた。後は天候の工合で、制作が出来ぬ折に作業を進めれば良い。



午後から3つの個展を廻ろうと出かける。最も遠い発寒川の畔にあるYギャラリーでのY氏の個展から廻ることにした。Y氏には、20年以上前に弟と同じ事務所の方3人でイタリア旅行をした折に、お世話になった。私学の高校で教師をしておいでだったY氏にお目にかかった折、暫くイタリアで制作されるとのお話を伺った。丁度イタリア旅行を計画中だったのでその事を話したら、是非寄る様にと薦めて下さり、連絡先の電話番号を戴いた。ローマからフィレンチェを廻り、ヴェネティアを見回った後、ホテルから電話を入れた。ミラノのホームで待っていて下さるとのことだった。列車が着くホームにY氏の姿があった。別のホームから列車に乗り、ヴェルマニア・パランサという湖の畔の街へ着いた。途中車窓から見える白い山は、大理石の山だと教えて頂いた。大理石の白は、変化に富んでいた。カトリック系の私学の寄宿舎が、その夜の宿となった。冬休中で学生がいなくなった部屋が用意されたらしい。簡素だが清潔な部屋だった。翌日は日曜日で、案内されて階下の大きな食堂に向う。驚いたことには、食堂は近隣の方々で埋っていた。皆知り合いらしく、楽しそうに話しながら朝食を摂っていた。恐らく御ミサが終って、その後の会食と思われた。教会と地域との強い絆が伺われる光景だった。Y氏に案内された街は、11世紀の古い教会や、ムッソリーニの別荘もあって、それ迄廻った観光地とは異なる風情のある良い街だった。

遠い記憶を辿りながら、発寒川の畔を南へ遡る。カモメが飛んでいた。川は北へ向い、石狩湾に注ぎ込む野田ら、カモメがいても不思議はないが、内陸での散歩を続ける身には珍しかった。川に近い位置を歩く。川は北へ向って下降し、何箇所にも堰が造られていた。中央にある段差の低い堰は、川魚の為のものと思われた。シンジュの巨木が莢を下げていた。何時も遠方から眺める手稲山が、近く異なった形状に見える。







ギャラリーの看板が見え、緑地帯を離れる。生憎Y氏はお留守で、高校も大学も1年先輩だった奥様が留守番をしておいでだった。窓から緑地帯が見える画廊で近況を話し、Y氏も来年、同じギャラリーで個展を計画されていることが判った。久々にお目にかかることが出来る。




バスと地下鉄を乗り継いで、大通りで降りる。バッグの為の小物を買い求め、パリでの2人展をご一緒した矢崎氏の個展会場へ向う。大通公園の紅葉が赤く色付いていた。雲が随分広がって来ていた。矢崎氏の個展を観終わり、隣室の会場で個展中のE氏からも案内状を戴いていたので、此処も覗いて駅へ向う。駅前で茶菓を買い求めて戻る。最寄りの駅に着いた頃には、日が暮れていた。




昨夜は中秋の名月で、8時過ぎに寝室へ上がると、東の空に満月が見えた。今朝は曇空で、風が強い。朝夕は火が恋しい時候となって来た。