27, 11. 2010 僅かな晴れ間に
前夜からの雨が残り、昨日午前中は降ったり止んだりの薄暗い天候だった。雨の予報は出ていたので、教室に見えた方が置いていって下さった、角田光代の『ツリーハウス』を読んで過ごした。哀しい程優しくまともな家族の、戦中。戦後から現代に至る物語で、時代を象徴する出来事が、織物の様に織り込まれ、満州から引揚げた高齢の老母を大連、新京に連れて行く行では、明確に残っているハルピンのイメージも、現実に訪れるとこの様な感慨を持つことになるのだろうと、容易に想像出来た。ジャケットの袖丈を直し終えた3日前から読み始めた本を漸く読み終えた1時過ぎ、雲が切れて陽が射し始めた。
今日のモデルの花の傷んだものを買い足そうと、北東のスーパーに買いに出かけた。ピンクッションというオーストラリア原産の花。数日前、スーパーに入っているのを確認していた。前日余り歩いていなかったので、東の沢を廻って行くことにした。実を落とし苞のみになったツリバナが縛られていた。東の沢の西の道を大分北へ進んだが、葉を落とした沢は見通しが良くなって、二番通りの方まで透けて見えていた。沢の底を流れる小川も見えた。
沢には小鳥の姿があった。中々姿が見え易い位置に止まってくれない。何度もシャッターを押したが、何とか写っていたのは此の1枚のみだった。沢の外れの高い梢に、ツルウメモドキの実が残っていた。
買物を済ませて西へ戻る。東の空は良く晴れていたが、西に浮いている白い雲を、低層の雨雲が襲いかかる様に追いかけていた。
晴れ間は僅かな時間。夕刻前には黒い雲が空を覆った。明日から雪が続く予報が出ている。目を楽しませていた秋の名残りも、雪に覆われてしまいそう。