28, 10. 2010 残り火のように - 1 -


昨朝の雪は、程なく止んだ。雲が切れて午前中は青空が広がった。未だ花を付けていたので切詰めるのを躊躇ったシュウメイギクは、雪の重みで地に平伏していたが、雪が融け始めると自力で立ち直った。茎の強い植物なので、立ち直りは早い。アジサイも俯いていたが、やがて元に戻った。





陽が射すと屋根の雪も融け始め、大屋根の雪は一気に滑り落ちた。小屋根の雪も少しずつ落ちて行く。裏のお宅は、屋根の勾配が緩いので、融けた雪は音をたてて雨だれとなって落ちていた。切り残した内庭のホトトギスも雪を冠ったが、間もなく起き上がった。





3年冠って、大分色褪せた帽子を旅の間中冠り続けたので、益々色褪せてしまい、有り合わせの革で帽子を作ることにした。先日縫い上げたバッグに似た配色で作ろうと、弟の帽子を借りて、シーチングを当てて、待針を打ち、型紙を取った。僅かのところで、中央に入れる青い革の長さが足りない。別の形にするか、明快な色の革が出る季節を待って、新たに革を見付けるかを決めかねて、散歩に出かけた。





根雪になる迄、雪は降ったり融けたりを何度も繰り返す。色を失った戸外は暗く重く沈み、日中の時間が短くなることも手伝って、陰鬱さは増して来る。この時期が最も苦手な時期となる。根雪が来ると気温は低くなるが、全てを覆う雪で、異質の明るさが出て来る。早い初雪は、苦手な季節が長引くことを意味する。雪が深くなると通れなくなる中央の沢と北の沢の西の遊歩道を歩いて来ようと、南西に向った。雪が来ると開かなくなると教えて頂いたモクレンの実を見上げる。実で大きく膨らんだ殻は僅かに割けているが、このまま朽ちてしまうのだろうか。




玄関先のイチイが大きく枝を延ばし、アーチの様に通路を覆っているお宅があった。数多くの赤い実を付け、地面にも実が沢山落ちたままになっている。もう手が廻らなくなっているのかも知れない。




今年も随分多くのお宅が取り壊されて更地になるのを目にして来た。庭の在り様で、お住まいの方の年齢や健康状態が伺えるのが哀しい。カナメモチだろうか、ズミよりも更に小型の実を多く付けた樹があった。冬期間小鳥が歓びそうな樹だった。中央の沢で、未だ葉を付けているサクラを見付けた。落葉が進んでいる沢は、見通しが良くなっていた。