21. 10. 2010 ガガイモの綿毛


暑さに不平を述べていたのが遠い日のことの様に、気温が下がって来ている。もう袖を通すこともなくなった薄手の長袖をしまい、厚手の洋服を取り出した。秋冬物に取り替えると、洋服を吊ってある納戸が重苦しい色になった。1月上旬迄の辛抱。日が長くなり始めたら、厚手でも明るい色の衣服に替える。鬱陶しい季節が始まった。

夕食に使用する野菜がないことに気付き、買物に出かけた。先週雨で廻れなかった東の沢を通り抜けて、北へ向うことにした。先ずバス通りのガガイモを見る。亀裂が入っていたが、中の種子は未だ見えなかった。一番通り近くの畑では、野菜が見事に育っていた。東の沢の傍のお宅の高い塀の上から、咲き残りのフジウツギが覗いていた。暑い季節、ロンドンの公園やスペインの各地で見かけたフジウツギを思い出した。






一番通りから東の沢に入り、北へ向う。流石に、もう虫はいなかった。ツクバネソウは黄ばんで倒れているものが多かった。僅かに残っているものも、暗紫色の実はもう落ちていた。虫を敬遠している内に、時期を逸してしまったらしい。急勾配の階段で深い沢を三つ越えて、二番通りに面した公園に出た。ツタが最後の輝きを放っている。キタコブシは、葉を落としてしまっていた。枝先に来春の花芽が出ていた。






東の沢の西の遊歩道を北へ進んで、三番通りのスーパーで買物を済ませた。軽い菜ものなので、四番通りを廻って戻ることにした。此処のガガイモは、大分前に実が割れていた。四番通りを西へ戻る。花穂の種子が弾けて薄汚れた綿の様になったセイタカアワダチソウに絡まったガガイモから、純白の綿毛が出ていた。絹糸の様に光沢のある細い綿毛の先に種子が付いていて、風に乗って空を舞う。一つの実の中にはびっしりと、驚く程の種子が入っている。写真を撮っていたら、通り過ぎた中学生が戻って来て覗き込んだので、植物名と綿毛の説明をした。背丈の大きな男子生徒は、別の実の綿毛を見付けて笑顔で指差して去って行った。野は益々緑が失せ、枯れ色が深まって来た。




雨が近いのか、西の山々と札幌市街が随分近く見えた。山並みが白く彩られるのも、それ程先のことではない。