21, 09.2010 アントニ・タピエス基金美術館


帰国の前日,最初の滞在中に休館だったアントニ・タピエス基金美術館から廻ることにした。開館時間迄間があるので,カテドラルを眺め,広場の東にあるサンタ カテリナ市場を覗いた。比較的近年に出来た屋根に派手な模様が描かれている市場。マドリッドの市場の様に,出来上がった食品を販売したり、その場で提供するのが主となっている市場だった。

北へ向い,カタルニア広場へ達した。飛行場へ向うエアポートバスの乗り場を確かめる。ホテルからの距離は余りないが,帰りは上り坂になるので、徒歩では難しいと思われた。広場を斜めに横切って,ガウディのカサ・パトリョを見ながらタピエスの美術館に向った。





ライトレッドの外壁に,クラシックな装飾が施され,屋上には金属線で創られたオブジェが設置された美術館内部は,意外にすっきりしていた。此処も嬉しいことに,フラッシュなしなら撮影可能と告げられた。作品の間隔が広く,ゆったりした展示だった。以前,東京での個展の中日の日曜日に,丁度開催中のタピエスの展覧会を高崎の群馬県立美術館まで観に出かけたことがある。無機質な函の様な空間に,間隔を詰めて展示された作品とは,随分異なって見える。初期の厚塗りの作品,砂や小石等が絵具に練り込まれた作品,アッサンブラージュの作品,何れも力強い。思いがけなく,かなり初期のシュールのペン画も観ることが出来た。狂気と悪意がほの見える作品で,後の抽象作品のエネルギーの源泉をみる思いだった。後期のカリグラフィックの要素が強い作品が佳かった。








吹き抜けの階上に登る。会場奥の書庫が目を惹いた。天井迄の作り付けの書棚が幾重にも並んでいる。入室は出来なかったが,硝子戸越しに出版された画集や、カタログの類いであることが判った。膨大な量だった。階下には,画集や美術館グッズを売るコーナーがあった。高崎から重いカタログを持ち帰っていたので、画集は取り止め,絵葉書を数種選んで買求めた。









漸くバルセロナの主目的の作品群に出会え,満ち足りた気分で美術館を後にした。