17, 09. 2010 バレンシアへ


当初バレンシア迄は、朝の汽車で8時間をラ・マンチャ地方の風景を見ながら移動し、バレンシアで1泊の予定だった。帰国の飛行機のチケットは、早い段階で押さえてしまったので,変更が利かない。バレンシアに皺寄せが来て,早朝着いて,夕刻の汽車でバルセロナに発つことになった。強行軍なので、夜行は疲れぬ様に個室を取った。予定では、5時5分にバレンシア着となっていたので、出発前は朝市場でも覗いて時間を潰そうかと考えていたが、夜明けが7時と遅いので,2時間程をどう過ごすかが問題だった。4時過ぎに目を覚まし,身支度を整えて降車準備をしていると,ドアがノックされた。開けてみると車掌が乗り過ごさぬ様に,起こしに来てくれたことが判った。到着は大分遅れると言った。もう一人お孫さんと思われる女の子の手を引いた婦人が現れた。大きな荷物を3つも抱えている。どの荷物も中から人形や玩具が顔を出していた。一番大きな荷物を持って差し上げた。30分以上遅れて,バレンシアの駅に着いた。大きな駅だった。長いホームを改札口に向うと,女の子の母親が手を振って待っていた。荷物を渡して別れた。

ボストンバッグを預けて身軽になろうと、インフォメーションでコインロッカーの場所を尋ねた。一番南側のホーム沿いにあると教えて貰った。行って見たが未だ開いていない。一旦外へ出てみた。未だ外は真っ暗。車や人の動きはあった。駅舎へ戻り,小一時間を喫茶店で過ごした。7時になったので,コインロッカーのある場所へ出かけた。物々しい態勢のコインロッカーだった。預ける荷物をセンサーにかけ、指示されたロッカーに入れ,提示された料金を入れるとレシートが出て来た。レシートの下には、数字が並んでいる。荷物を受け出す折に,その数字を打つ様に教えられた。手荷物の検査なしに,乗客がどんどんホームへ出て行くグラナダ駅とは大違いだった。



身軽になって再び駅を出た。漸く明けて来るところだった。駅は街の南に位置して居り、幅広い道路が北へ向って伸びていた。分厚い壁の土色の建造物を多く見て来た目には,白亜の建造物が軽く流麗に見えた。駅舎も左右対称の綺麗な建造物だった。




大通りを北へ進むと公園があった。華やかな感じの建造物が取り囲んでいた。市庁舎等があり、市の中心らしかった。




大通りの突き当りで,道は細い二叉路に別れた。左手に進むと、中央市場がある筈だった。少し進むと歩道の奥が広場になっていて、大きな建造物が現れた。目を疑った。とても市場とは思われぬ大きく華やかな建造物だった。荷下ろしをしているトラックがなければ、市場とは思われぬものだった。





中へ入って見る。中央に大きなドームがあり、十文字に幅広い通路が配された空間だった。店舗の様子はそれ迄見て来た市場と変わらなかったが、最も広い空間を持つ市場だった。





外へ出て歩道の方へ戻り,反時計回りに周囲を廻って見た。歩道に面した入口が正面らしく、重厚な感じの入口から、ビニール袋に入れた買物をぶら下げて出て来る人々の姿が不釣合いで面白かった。市場の壁面に沿って,同じ様にタイルで装飾された出店が取り囲んでいた。未だシャッターが下りた店舗が多かったが,調理用品を商う店が面白かった。様々な種類の鍋があり、大きなパエリャの鍋が眼を惹いた。一回りして,最初に入った広場にあるレストランの屋外席で,サラダを注文して朝食を摂った。







駅前大通りの佇まい,街の中央部の巨大な市場と、それ迄廻った都市とは異なるエネルギーが感じられた。