15, 09. 2010 アルハンブラ王宮 - 2 -


室内の装飾は,精緻なレースの様だった。キリスト教勢力が、此の地を奪還しようとした折、2世紀半に渡って構築された王宮は、無血開城によって幸運にも残された。何処の文化遺産も同様ながら,富と権力が集中しないと規模の大きなものは残らぬことに、複雑な思いがする。

アーチやドームの装飾が見事な部屋があった。段々方向感覚が怪しくなるので,時折庭に出て位置を確認しながら歩く。








「 二姉妹の部屋 」のドームは圧巻だった。教会のドームは初期のものは構造自体が装飾を兼ね,後期になると偶像で装飾が施されていくが,偶像を排した装飾のみで構成されている。飽く事を知らぬ、過剰とも云える装飾。屋外へ出て、ドームの姿を確認した。







突き当りのアーチを潜ると廊下があって、表示に従って階上へ導かれた。渡廊下からドームの屋根と思われる、明り取りに丸い硝子が嵌められている様子が見えた。階下に庭園が見えて来た。どうやら、出口の方へ導かれているらしい。渡廊下の左手に,アルカサバから眺めた最も旧いイスラム時代の居住区である、アルバイシン地区が見えた。階段を下りた建造物は、比較的新しい建造物の様だった。





長く彷徨った異界から、引き戻された様に感じた。