29, 08. 2010 サグラダ・ファミリア教会


スペインの都市は、汽車で廻った。乗車日数によって価格の異なるユーレイル パスを買求め、イメージした行動系に合わせた時間帯の座席指定券を、予め旅行会社にお願いして確保した。ユーレイル パスは、乗車する日取りを記入し、駅で乗車以前にスタンプを押して貰わないと、有効にならない。

前日、真っ先にこの厄介な作業をとも考えたが、乗車するサンツ駅は、スリや置き引きが多いとガイドブックに書かれていたし、日本なら丁度ラッシュアワーに相当する時間だったので、翌朝に廻した。朝出かけた市場の近くに地下鉄の駅があるのを確認しておいた。乗換なしでサンツ駅に着いた。恐ろしく長い地下道を通り地上階に出た駅は、平板なだだっ広い駅だった。切符売り場を見付け、パスを有効にする為のスタンプが欲しいと申し出たら、いとも簡単にスタンプを押してくれた。次にインフォメーションを探し、AVEという日本なら新幹線に当たる列車の乗り場を尋ねた。AVEのインフォメーションで尋ねる様に云われ、場所を教えて頂いた。AVEのインフォメーションで、乗り場、発車時間の30分前には待合室のドアが閉ざされることを教えられた。チケットがあっても、間際の乗車は出来ぬらしい。これで足は確保出来た。



地下鉄で引き返そうと思ったが、駅の外観を見ておこうと外へ出た。良く晴れて猛烈に暑い。市内北部から中央にかけて点在するガウディの建造物を観る予定だったので、水分を補給しておこうと駅前広場の向こうに見えたパラソルの下で一服し、オレンジジュースを飲んだ。地下鉄の路線図で乗り換え駅を確認し、先刻通った長い地下道を抜けて地下鉄に乗り込んだ。アナウンスはあるが、スペイン語のみなので、路線図と首っ引きで乗り換え、目指すサグラダ ファミリア駅に着いた。階段を上って行くと、コンクリートで切り取られた青空の左手に、壁に凭れているのか人々の肘や背中が見えた。上り詰めると左手直ぐに、天を突くサグラダ ファミリア教会がのしかかる様に聳えていた。膨大な数の人々が、教会前、車道を挟んだ向い側の歩道にひしめいていた。




向い側の歩道に渡り、全容を見上げる。ファサードには良くもまあと思われる程、装飾が施されてた。狂気とも云える装飾性。教会側の歩道に戻り、反時計回りに周囲を観ながら歩く。工事中の歩道に立つ街頭の支柱に、教会の雰囲気に合わせたのか装飾が施されていた。漸く裏側の正面に辿り着いた。






裏手の車道を挟んだ向い側は、広い公園になっていた。この様な巨大な建造物は、距離を取った方が姿が良く見える。教会が良く見える絶好の位置に、ボックス型の店舗がアイスクリームや清涼飲料水等を販売し、パラソルがずらっと並んでいた。殆ど満席状態だったが、運良く席を立つ方があって、一休みしようとビールを頼んだ。正門にも増して,裏の正面は魁偉な装飾が溢れていた。公園には白やピンクのキョウチクトウに混じって、南国風の初見の白い花が咲いていた。自らの資質とは対極にある、狂気を孕んだ過剰とも思われる装飾に満ちた建造物を、暫く眺めていた。





一息つきながら見ていると、教会敷地内にも人の姿が見える。内部も見られるのかと腰を上げた。車道を渡ると時計回りに人々の行列が見えた。尋ねると内部に入る為に待っているとのこと。この炎天下で、何時入れるか判らぬ程長い行列待ちはしていられない。ガウディの他の作品に出会うべく、行列の脇を地下鉄の入口へ急いだ。

昨日も良く晴れて、気温が上がった。僅かながら湿度は下がって来た様に思われた。日向の作業は厳しいので、日陰にある茫々と伸びたバイカウツギの枝切りをした。幹に弾性があって、手繰り寄せると高い枝もある程度は切れる。2m、3mという長い枝を粗く刻んでゴミ袋に詰め込んだ。陽が傾いた夕刻、買物がてら散歩に出かけた。
少し回り道をして、東の沢を廻ってから買物をすることにした。ナナカマド公園近くのサンキライは赤い実が増えていたが、未だ蔓の先端に花が付いていた。過日胡瓜を見付けた庭では、ナンバンが赤く色付いていた。背丈の大きな豆の蔓には、莢が赤く色付き始めた豆が生っていた。東の沢近くのお宅で、イチイの生垣に、カボチャが這わせてあり、実が生っていた。






東の沢のホウノキの実は、柄に近い部分から赤味を帯びて来ていた。公園の窪地では、クリの毬が大分大きくなっていた。気温は高いが、秋が忍び寄って来ている。