18, 10. 2009 様々な種子


近付く厳しく長い季節を前に、植物達は最後のプログラムの遂行に余念がない。種の保存の為に、様々な形の実を作り、種子を内包する。

長く伸ばした枝の両脇に多くの丸い実を付けるコムラサキは、日毎にその色を深くしている。花は枝の付け根に近い部分から開花し、順次枝先へと開花が進む。結実も、実の色付きも、枝の付け根から枝先へと進む。長い枝の先には、未だ花を付けているものもあるが、付け根に近い部分の実は成熟して来た。花の時期よりも華やかな印象を与えている。剪定を兼ねて切り花としての活用を試みているが、恐ろしく水上がりの悪い種で、直ぐに葉が捲れてしまう。もう少し実の色を楽しんで、剪定することになる。



純白の美しい花を咲かせたレンゲショウマにも、実が出来ている。陽の当たらぬ場所で、何度試みてもフラッシュが作動してしまい白く写るが、緑色の複雑な形の実。最初、嫌いなカメムシが付いたかと目を凝らしたが、扁平な緑の実が組み合わさっていた。少し反り返り始めている。先日工房のお庭で、K・Kさんが、ピンクのレンゲショウマの実を採って下さった。もう茶色に枯れた実だった。白いレンゲショウマは、滅多に園芸店には現れぬ希少種で、高価であると話してらした。それ程高価だった記憶はないが、その後間もなく、駅前で便利だった園芸店が店じまいしてしまったので、何も表記はされていなかったが、安売りをしていたのかも知れない。工房のお庭にも佳く映る花なので、種を分けて差し上げたいが、雪が来る迄に成熟してくれるだろうか。




ナツツバキの実に、変化が出て来た。茶色に色付き始めていた外皮が剥けて、実の根元に広がっている。中から出て来た実は、実の出来初めと同じ様な緑色の実。この実も少し色付き始めている。何時もは深めに剪定するのだが、一昨年の剪定で、昨年花を全く付けなかったので、今年は実を残して浅く剪定してみた。この先、どのように変化するのか愉しみでもある。





イワシャジンが盛りを過ぎて、花の色が抜けて白くなったものが増えて来た。何時もは花が白くなると見苦しいので摘み取ってしまっていたが、イワシャジンがお好きな方が多い様なので、採種してお送り出来ればと、摘み取らずに放置してある。白く変じた花の根元は膨らんで丸くなっている。既に花が落ちてしまったものもある。庭では、取り損ねた種子が自然発芽して、思いがけぬ所に芽を出し、花を咲かせている。先日小樽の友人にも、自然発芽して少し大きくなった株を持参した。下写真は、コケモモの間から出て来たイワシャジン。こんな所から芽を出されては、掘り上げる事も出来ない。もう少し株が大きくなるのを待って、たっぷり水をかけて引き抜くしか方法はなさそう。




イワシャジン  Adenophora takedae キキョウ科
コムラサキ   Callicarpa dichotoma クマツヅラ科
ナツツバキ   Stewartia pseudo-camellia ツバキ科
レンゲショウマ Anemonopsis macrophylla キンポウゲ科