12, 09. 2010 アルハンブラ宮殿へ


翌朝目が覚めた折にも、雨は降り続いていた。列車ダイヤの変更で,思いがけず出来た長い時間をアルハンブラ観光に充てたのに,前日の午後にすべきだったかと悔やまれた。7時を過ぎて,戸外が明るくなり始めると、傘をささずに歩いている人が見受けられた。雨が上がるのかも知れないと思った。

朝食後大通りを眺めると,殆どの人々が傘をささずに歩いていた。窄めた傘を手にしている人もいた。荷物を纏め,チェックアウトを済ませ,夜汽車の時間迄ボストンバッグを預かって貰うことを依頼した。ホテルを出る頃には,雨は完全に上がっていた。

ホテル前の大通り中央の公園部分を歩いて、コロン大通りへ向う。植込みの中に,オレンジが沢山落ちていた。前日見かけなかった教会を見付けた。ドームの周囲に,面白い装飾があった。教会の多い街だった。右手にカテドラルを見ながら進み,突き当りの大通りを左に曲がる。この通りにアルハンブラ宮殿に続く門がある筈だった。門へ続くゴメレス坂が中々見付からない。ベンチに腰掛けている土地の方と思われる2人に、インフォメーションで貰った地図を見せて道を尋ねた。道を尋ねる折は,スペイン語表記の地図の方が都合が良い。どうやら通り越してしまったようだった。教えられた通りに来た道を戻り、2つ目の角を入った。細く急勾配の道だった。




前方に門が見えて来た。門を潜ると,道は更に勾配を増した。整備された緑の中の道をゆっくり登った。雲が切れて,陽が射して来た。階段があって、道は大きく左へ曲がっていた。左側の壁には,水飲み場があった。





葛折れの道を登り,道が交差する地点に出た。小さな滝があった。表記に従って,右手のチケット売場への道に入る。チケット売場には,長い行列が出来ていた。待っている間にも,列はどんどん長くなっていく。漸くチケットを入手し、滝があった地点迄戻り,左手の道を進んだ。前方に宮殿の敷地へ入る門が見えて来た。






門を潜って出た広場の右手に教会があった。小振りの教会だった。教会の左手に,ルネッサンス様式のどっしりした構えの建造物があった。カルロス6世宮殿だった。中庭は円形で,2層の列柱が取り囲んでいた。イスラム勢力の撤退後、15世紀の建造とのことだが,周囲の建造物とは全く異質のものだった。








宮殿前の広場を,人々が奥に歩いていて行く。地図の方角から,アルハンブラの王宮への道と思われた。行列が出来始めて,その列に加わった。思いもかけぬ事態が待ち構えていた。