07, 09. 2010 メスキータ


北の壁面の中央にあるメスキータの正門に向う。4時を大分過ぎているのに、未だ陽が高い。正門を潜るとエキゾチックな天井が現れた。広い中庭の向こうに、モスクの入口と思われる開口部が見えた。建造物の左端には、鐘楼と化したイスラムミナレットが聳えていた。







入場は中央の入口ではなく、回廊に続く西側の開口部からだった。眩しい外部から建物に入ると、一瞬暗闇の様に見えた。やがて目が慣れて、重層するアーチが浮き上がって来た。途轍もなく数多いアーチの集積だった。





少しアーチの間隔が広がった通路があり、クロスする辺りが中央部と思われた。祭壇の様な設えがあって、キリスト教の聖画が掛けられていた。縞模様のアーチ群には、全くそぐわない祭壇だった。






ぐるりと一周して、北の壁面に向う。全く異質の空間が広がっていた。改築されたと思われる細長い空間は、キリスト教の世界だった。13世紀前半にキリスト教徒勢力がこの地を奪還し、15世紀末に馬蹄形のアーチを破壊して、改築されたもの。2つの全く異なる文化が鬩ぎあう様が伺える。天井も壁もステンドグラスの窓も、全て改装されているが、この空間にはやはり、モスク南側の窓や天井が似つかわしい。









イベリア半島に繰り広げられた歴史が、建造物に形象化された不思議な空間だった。