20, 02. 2010 札幌へ


気温が上がり、朝から牡丹雪が舞った昨日午後、幾つかの用事を纏めて済ませようと、札幌へ出かけた。最初に最も離れた位置にある喫茶店での個展を観ようと、地下鉄の円山公園駅で降りた。地上へ出て北東に歩くと、懐かしい円山市場があった。

この市場の西にある札幌ではかなり古い小学校に、1年生の2学期から4年生の1学期迄通った。当時は現在の様な建物ではなく、木造の長屋の様な市場で、様々な業種の店舗が並んでいた。授業が終ると学校の前にある木造下見板の教会の横の路地を通り、市場を見ながら帰った。特に気に入っていたのは馬の蹄鉄を作る店で、時折馬が繋がれて、爪を小さな鎌の様な鋭利な刃物で削ぎ落とされ、U字型の蹄鉄を打たれるのを、固唾をのんで見ていた。当時はトラックは殆どなく、冬期間の燃料となる石炭も馬車で運ばれ、街中を馬車が闊歩していた。この市場も、周囲に大型店が進出し、間もなく閉鎖になると聴いている。



市場から少し東の位置に喫茶店がある。友人達が個展をされて、何度か訪れたことがある。今回は2007年にテンポラリーで個展を開催した折に知り合った若い作家のN さんの個展。Om/s -zero meter per seconnds-と題された展覧会。繊細な感性を持たれた作家なので、強烈な青い壁を持つ空間をどの様に押さえられるのかに興味があった。作品は、昨年テンポラリーで展開された封筒に因るもの。彩色されたり、紙片が貼られた封筒が、アクリルのケースに納められ、きりっと展示されていた。入口近くの「燃やせなかった絵で封筒を作った」と題された作品の前の席で佳い時間を過ごした。






地下鉄で札幌駅へ戻る途中、もう2月も半ばを過ぎたので春らしい色の革が入荷しているかも知れないと思い、途中下車して東急ハンズに寄ってみた。昨年中々入手出来なかった淡いグリーンの牛皮があり、夏の旅行用のバッグを作ろうと買求めて来た。人混みの中を歩いて地下鉄に乗っても一駅なので、西6丁目の通りを北へ歩いた。大通公園には、過日の雪祭り雪像に使用された雪が、雪山となっていた。車の通りが多い場所なので当たり前のことながら、雪の汚れが目についた。降り続いていた雪が止んで、薄日が漏れていた。更に北の街路樹のプラタナスには、丸い実が未だ残っていた。




道庁の裏門から構内に入った。東向きの正面玄関の他に、西の出入口、北にも出入口があるのが分かった。正門近くには、中国からの観光客が大勢集まっていた。池の水面は出ていたが、水鳥達は氷の上を覚束ぬ足取りで歩いていた。




駅前で2件の用事を済ませ、電車で最寄りの駅に戻った頃には、陽が大分傾いていた。バスを待つ間、左右の防風林に続々と集まる鴉が騒ぐ様を見ていた。途中下車して生花店で花を買求め、白樺公園を通って戻る頃には、夕焼けが見られた。



今日は雪の予報が出ているが、明けて来た空は雲一つなく晴れている。気温も少し上がるらしい。雪に閉じ込められる閉塞感を、早く脱却したいもの。