22, 12. 2009 久々の工房で


漸く纏まった降雪があった。20cm 近くは降り積もったろうか。凹凸のあった庭が、雪で白く平らになる。雪が散らつく中を、今年最後となる、K・Kさんの工房へ出かけた。琴似の駅で下車した頃には、雪は止んでいた。時折、突風の様に強い風が吹く。何時もの様に、三角山を目指して歩く。正面に見える三角山は雪化粧をして、昨日は墨絵の様に見えた。商店街を越えると歩道の除雪がなく、他人の歩いた跡を辿らなければならなかった。

何時もより少し所要時間が多くなって、漸く工房に辿り着いた。K・K さんは、窯焚きの最中だった。1時間に60度温度を上昇させて、1,260度迄、温度を上げなければならないとのこと。21時間もかかることになる。以前お願いした、練り込みの角皿と、陶筥が焼き上がっていた。角皿は無事に焼き上がっていたが、陶筥は、蓋の反りが増して,亀裂が入っていた。以前大学で、K さんに焼いて頂いていた折も、練り込みの陶筥は良く蓋が欠けたり、歪んだりしていたので、色素で染めた陶土の貼り合わせにはかなり念を入れたのだが、圧縮する力が不足だった様子。





自宅で成形中の陶筥は間に合わなかったので、轆轤を使わせて頂いた。預かって頂いていた陶土を練り直す。工房の中は充分に暖房が利いているが、陶土は氷の様に冷たかった。何とか練り直す頃には、手が少しかじかんで来た。近年は住宅の気密性も増して暖房設備も向上し、温暖化で冬の気温も高くなっているので、手がかじかむことはなくなっていたが、子供の頃は、手がかじかんで自由に動かせず、随分苦労したのを思い出した。三度目の轆轤の使用で、轆轤の回転と手の動きは少し合って来ている様に思われたが、指が自在に動かないので、一旦中止して、昼食を取った。入れて頂いた熱いコーヒーのカップで手を温める。K・Kさんが、写真家のM さんに5月ご一緒に我家をお訪ね下さった後、会うことがあったかと尋ねられた。滅多に外出の機会もなく、画廊廻りも極端に控えていたので、お目にかかる機会はなかった。ご自宅が近いとのことで、電話をかけられ、M さんが工房に見えた。手土産をお持ちになり、私にまで下さった。素敵なパッケージだった。書をお続けのM さんの文字が入った和紙で包まれ、藁蕊で縛られてある。



薄い小型のカメラで、様々なものを写真に撮られていた。接写の距離が短いのに驚く。小さな花の撮影には、効力を発揮しそうなカメラだった。手指が戻ったので、再度轆轤に挑戦する。何とか広口の鉢の形が出来上がった。MIXY で共通の友人である佐賀在住のT さんの話題が出て、T さんの作品をお持ちなので見ないかと誘われた。K・K さんも同道されるとのことで、お言葉に甘えてお邪魔させて頂くことにした。次々と、見事な青白磁の器やオブジェが、大きなテーブルの上に並べられた。大振りの円形の蓋物が、見事だった。荒く面を取った一対の蝋燭立ても佳かった。思いがけぬ目の保養をさせて頂いた、楽しい一時だった。