01, 12. 2009 使用頻度の低いギャラリー


外は未だ暗いが夜半に雨が降ったのか、敷石が黒く濡れ、霧が深い。街灯の光が霞んでいる。昨日も終日薄暗い一日だった。前日の色調とは余りに異なり、仕事を止めて、雑事をこなした。庭の雪が融けていたので、お送り頂いた種子を蒔いた。風はなく、酷く寒くはないが、雲が殆ど動かない。厚く垂れ込めた雲が切れることはあるまいと判断し、午後からギャラリーを廻ることにした。

送られて来ている案内状から3枚を選び、バッグに入れて出かけた。何れも札幌の中心部から少し外れた位置にある。最初に西にあるギャラリーを訪ねることにした。往復地下鉄も詰まらないので、行きは駅前からのバスを利用した。近代美術館の前で降りて、南西へ向う。南大通りへ出て、更に西へ向う。北側の歩道を歩いていたら、南に面したお宅の庭に、見事なツワブキが咲いていた。庭のツワブキは、葉は遜色ないが、今年は花を付けなかった。日照不足が原因と思っていたが、何か他にも原因があるのかも知れない。地下鉄に乗っていたら、通らない場所だった。



昨年2月末から3月中旬にかけて個展を開催したギャラリーに辿り着く。大学の研究施設の名目で、文部省の助成金で建てられた建造物。ギャラリーは、建物の東に突き出た部分に、1・2階を通した吹き抜け空間を持つ部分と、3階の2箇所にある。3階に見える窓の傍は、休憩室になっていて、3階のギャラリーには窓がない。天井も余り高くはなく、重い空間のギャラリーになっている。昨日の展覧会は、この3階のギャラリーで開催されていた、大学関係者の7人のグループ展。只でさえ重い空間に、傾向の異なる作品が寄せ集めの様に展示されて、インパクトの弱い展覧会だった。1・2階のギャラリーは、空いていて、入口には展覧会名を入れる立て札が置かれてあった。




西側の建造物にはホールもあって、こちらは時に利用されているようだが、ギャラリーの使用頻度は、年に5回に満たない。北一面の窓から安定した自然光が入る空間は、中々お目にかかれない程の佳い空間なのだが、殆ど利用されることはない。一昨年、北にあるテンポラリーでの個展が決まった折、その前年パリでの2人展の作品があったので、同時期開催の個展としたく、企画での個展開催が出来ないかと打診した。窓口担当の作家のH 氏は非常に好意的だったが、この建造物の使用については規制があるらしく、10ヶ月を過ぎて、漸く公募という形で2会場を貸与されることになった。3階の重い空間は、空間を強く意識する作品でないと、押し潰されてしまう。紆余曲折を経て、テンポラリーでの個展の数ヶ月前に個展を拝見し、私の個展を訪ねて下さり初めてお会いした、若い作家のS 氏に、同時期の3階での個展開催を依頼した。快く引受けて下さったS 氏の会場構成は、期待以上の見事なものだった。壁面への展示だけでなく、床に作品を並べ、積上げ、重い空間が広々と軽く感じられた。教職にある作家で、年度末の多忙な時期でもあり、DMは2人の作品をPC 上でコラージュして私が作成した。何故か会場の壁面に埋め込まれたTV のモニターには、動画作品を流して使用した。





小さな蟻の一穴とは言え、風穴を開けたのだから、その後に続く作家の使用を期待していたが、利用された形跡はない。折角の設備なのだから、使用頻度を上げる努力をして欲しいと思っている。