17, 11. 2009 遠来の友人


雪の予報も出ていた昨日は、気温がそれ程は下がらず、早朝小雨が降っていた。薄暗い中を支度を整え、6時半に家を出た。道南で天候悪化の為に、ダイヤに乱れがあることを、駅のアナウンスで知った。この時間帯に電車を利用する経験がなかったが、かなり多くの人々が、慣れた足取りでホームに流れて行く。10分程遅れて、列車が到着した。降車客は殆どなく、初対面のT さんは直ぐに分かった。予想以上の大荷物。直行される様に連絡していて正解だった。リュックを背負い、斜め掛けの大きなバッグを前に下げ、ハンドルの付いたバッグを引いてらした。リュックを外して貰い、受け取って肩に架けた。ずしりと来る重さ。運良く雲が切れ、陽光が射して来た。

ブログから饒舌な感じの方を予想していたが、思いの外抑制の利いた方だった。行動予定を伺うと、時間には余裕があったので、アトリエで先ず一休みして頂く。一息ついた所で、予定通りシャワーを浴びて頂いて、朝食を整えた。焼き上がったばかりの角皿には、鶏肉の酒蒸しを割いたものと、さっと湯を潜らせ、水に放した三つ葉を盛り、山葵入りの醤油をベースとしたソースを添えた。少し緊張感の見えていたT さんも、シャワーを浴びて落ち着かれたのか、表情が柔らかくなっていらした。上滑りの会話にならず、価値観が見える話になるのが心地良かった。

朝食後、件のオオウバユリの種をご披露し、実を持ち帰られるかと尋ねたら、四国に大きなトランクを置いてらしたそうで、是非にとのことで、用意してあった筒を切り、左右から2本の実を納めることが出来た。大きなバッグから、3種の草花の種と、白いフェルトのブーツ型の室内履き、お手製のニットの帽子を取り出して下さった。大きな作品は、甥の部屋に入れてあったので、120号程の2点と小品を拡げてご覧頂く。発せられる言葉は的確で、気持ちが良かった。過去のカタログや作品の写真ファイルもご覧頂く。大荷物の中から、布の作品を取り出して見せて下さった。布を束ねて本の様な仕様になっているものに、様々なものが刺されてあった。ご自分の髪の毛を刺されたものもあった。哀しい程の思いの詰まった作品だった。

話しているうちに、彼女の日記に登場していた、幼少時お祖母様と阿寒を訪ね、アイヌの少年が大事そうに握っていたクロユリの球根の逸話を思い出し、クロユリを掘って土を洗い、ビニール袋に入れてお渡しした。遅めの昼食を取り、話は尽きなかったが、次の予定に移行される時間となったので、次の待ち合わせの駅に乗り換えなしで着く様に、3時前の電車で見送った。

日記は、何時も早朝に作成する。昨日は甥も戻って慌ただしく、写真を撮る時間さえなかったので、今日の作成は何時もより遅れてしまったが、アトリエは制作時は室内履きを脱いでソックスで入るので、早朝は足元が冷たい。フカフカの室内履きは、早朝の日記作成時に履かせて頂こうと思っている。