03, 11. 2009 ヤドリギを探しに - 1 -


昨日早朝の雪雲は、強い風に流されて、8時を過ぎた頃には青空が広がった。敷石や地面の雪は直ぐに融けたが、植物に積った雪は、正午近く迄残っていた。昨夜は月が綺麗だったが、夜半に降雪があったらしく、今朝も敷石が白く見える。

冬至を過ぎる迄、日は短くなる一方で晴れの日は貴重なので、早速仕事に取りかかった。一昨日の薄暗さとは異なり、青が輝いて、仕事は順調に運んだ。先週仕上がった2点は明度が低めなので、明度を高めにとった小品を手がけた。展示空間が複雑に入り組んでいるので、全体で大きなうねりを創るのは中々難しいが面白い。

昼食後も仕事を続け、2時近くなって漸く一区切りが付いた。“戦跡”を確認しながら飲み忘れた冷えた紅茶を啜っていたら、突然思いがけぬことが頭に浮かんだ。9月に切り倒された大きな柳の樹にあったヤドリギのこと。巨大なヤドリギが2つと小さなヤドリギが1つ寄生していた。未だ雪のある頃に、白樺公園を北に向った三番通りの中央分離帯の樹にもヤドリギがあったことも思い出した。雲が広がって来ていたが、雨や雪の心配はなさそうなので、出かけてみることにした。風が強く寒そうなので、裏に毛皮が付いた冬用のコートとウールのマフラーを取り出して着込んだ。

白樺公園の樹々は殆ど葉を落としてしまっていた。ミヤギノハギは葉が黄ばみ、最後の花を吊り下げていた。北へ向おうとしたが、北の沢の様子も見ようと遠回りをすることにした。殆どの樹の葉が落ちている中で、葉の繊細なモミジが落葉もなく色付いていた。先日見事に色付いていたツタは葉を落とし、残された柄が妙に生々しかった。





更に西へ進んで、コブシの実の様子を見る。葉の数が減って、益々実が露になっていたが、亀裂は入っていない。冬空に実だけ残っている姿が、頭に浮かんだ。鬱蒼としていた沢は、落葉が進んで沢の西にあるアパート群が透けて見えていた。強い北風で、池の表面にはさざ波が立っていた。




雪で湿った落葉を踏みしめながら歩いて行くと、“天狗の団扇”の様な途轍もなく大きな葉が落ちていた。トチノキの葉だった。過日此処を通った折には気付かなかった樹。北丿沢の遊歩道と三番通りが交叉する地点で、最後の紅葉の姿を写真に収めて東へ向った。




シラカバ   Betula platyphylla var. japonica カバノキ科
ツタ     Parthenocissus tricuspidata ブドウ科
トチノキ   Aeaculus turbinata トチノキ
ミヤギノハギ Lespedeza thunbergii マメ科